働き方改革では社員の残業を削減したり、年次有給休暇を消化させたりやることが沢山あります。
そもそも有給管理をしていなければ管理からスタートさせなければいけません。就業規則がない場合も社労士にお願いして作成するところからスタートです。
働き方改革のために職場環境を整えるのは費用も手間もかかります。
企業だけが負担を背負うとなるとなかなか働き方改革も進みませんよね。
そこで働き方改革に対応する企業に対して、助成金や補助金が支給されています。もちろん申請しないとこの助成金や補助金は支給されません。知らないとせっかくもらえるお金をもらい損ねてソンしてしまいます。
この記事では働き方改革で使える助成金・補助金をまとめました。
自社で使えるかどうかチェックしてみてくださいね。
時間外労働改善助成金
時間外労働等改善助成金は2018年4月からスタートしました。
働き方改革の目標の中に「長時間労働の是正」があります。
この目標を達成するためにはコンサルタントを入れたり、新しいITツールを導入したり、専門家に依頼してルールを作成するなど何かとお金がかかるもの。
そこで時間外労働の上限規制などに対応する中小企業・小規模事業者に対し厚生労働省から助成金を出しましょうという制度です。
この中小企業・小規模事業者とは下記のA,Bどちらかに当てはまる事業主のことです。
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
助成金を支給してもらうためには残業時間の上限を設定、テレワークを導入、有給休暇の取得促進などを積極的に取り組む必要があります。助成金のコースによって取り組むべき内容が異なります。
時間外労働改善助成金には下記の5つのコースがあります。
- 時間外労働上限設定コース
- 勤務時間インターバル導入コース
- 職場意識改善コース
- 団体推進コース
- テレワークコース
ここからは5つのコースについて具体的に解説していきます。
時間外労働等改善助成金 (時間外労働上限設定コース)
従業員の残業が減らない、残業代が経営を圧迫している、残業が多く労働環境が悪化している、など長時間労働が問題になっていませんか?こういった長時間朗読に対して対策をとると支給される助成金が時間外労働上限設定コースです。
時間外労働(残業)を削減する取り組みに対してかかった費用の一部が支給される助成金です。
- 支給額
下記のうちどちらかが支給されます。
- 上限設定の上限額及び休日加算額の合計額(目標によって異なる)
- 対象経費の合計額×補助率3/4(上限は200万円)
- 成果目標
時間外労働時間数を以下のいずれかの上限設定にし、労働基準監督署へ届出する必要があります。
- 時間外労働を月 45 時間以下、年間 360 時間以下に設定
- 時間外労働を月 45 時間以上月 60 時間以下、年間 720 時間以下に設定
- 時間外労働を月 60 時間以上、時間外労働時間数及び法定休日における労働時間数の合計で月 80 時間以下かつ、時間外労働時間数を年間 720 時間以下に設定
- 上記の成果目標に加えて、週休2日制の導入のために、4週あたり5日から8日以上の範囲内で休日を増加させることを成果目標に加えることができます。
- 申請締切
2019年11月29日(金)必着です。
国の予算額上限に達した場合は11月29日より前でも受付終了になる場合があります。
時間外労働等改善助成金 (勤務間インターバル導入コース)
勤務インターバルとは出勤と退勤の間の時間です。勤務インターバル中は家に帰って休息、食事、睡眠、プライベートの時間を過ごします。勤務インターバルが短くなると十分な睡眠や休息をとることができず労働者のストレスの原因になってしまうことも。
労働者のワークライフバランスを整えやすい環境作りの一環として、勤務インターバルを導入しましょうという取り組みです。勤務インターバルを導入する方法として深夜残業の禁止、始業前残業の禁止、やむ終えない残業をした場合は翌日の出勤時間を繰り下げる、などがあります。
- 支給額
1企業あたりの上限額は100万円です。
- 成果目標
出勤と退勤の間を「9時間以上11時間未満」もしくは「11時間以上」空けること。
具体的には、以下のいずれかに取り組む必要があります。
新規導入の場合
勤務間インターバルを導入していない事業場において、事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象とする、休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルに関する規定を就業規則等に定める
適用範囲の拡大
すでに休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが、現状が対象の労働者が半数以下の場合。
対象となる労働者の範囲を拡大し、労働者の半数以上を対象とすることを就業規則等に規定する。
時間延長
すでに休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入しており、労働者の半数を超える労働者を対象として、当該休息時間数を2時間以上延長して休息時間数を9時間以上とすることを就業規則に規定する。
- 申請締切
申請の受付は2019年11月15日(金)必着です。
国の予算額上限に達した場合は11月15日より前でも受付終了になる場合があります。
時間外労働等改善助成金 (職場意識改善コース)
年次有給休暇を取りやすくする、または長時間労働の短縮を目的としたコースです。
日本の会社ではまだまだ有給休暇が取りにくい雰囲気が残っています。時間外労働についても「みんなが残業しているのだから、自分も残らなければ」と無意味に時間を過ごしていることも少なくありません。
こうした残業を短縮したり、年次有給休暇を取得しやすくすることで社員のワークライフバランスが整いやすくなります。
その結果、社員がきちんと休息を取っているため生産性が向上することが期待できます。
- 支給額
1企業あたりの上限額は100万円です。
- 成果目標
年次有給休暇の取得促進
交付要綱別紙で規定されている、特別休暇のいずれか1つ以上をす新たに導入
(特別休暇=病気休暇・ボランティア休暇・教育訓練休暇)
残業の削減
社員の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させる
- 申請締切
申請の受付は2019年9月30日(月)必着です。
国の予算額上限に達した場合は9月30日より前でも受付終了になる場合があります。
時間外労働等改善助成金 (団体推進コース)
事業協同組合、商工組合、商工組合連合会、都道府県中小企業団体中央会などが対象の助成金です。
一般企業とは少し内容が異なるため、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
時間外労働等改善助成金 (テレワークコース)
テレワークは最近ではリモートワーク ともいわれています。自宅・もしくはサテライトオフィスなどで仕事をするスタイルのこと。テレワークを導入すると、自分の仕事に集中できるため生産性があがります。
また、育児や介護中の社員もいままで通勤にあてていた時間も働くことができるため、新たに採用をしなくても人手を増やすことが可能。
テレワークができることで優秀な社員が家庭の事情で離職してしまった…という事態を防ぐことができるかもしれません。
- 支給額
1企業あたりの上限は150万円です。
社労士のコンサルティング費用や勤怠ツール導入などの支給対象となる取組で必要だった費用の一部が、目標達成状況に応じて支給されます。
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
補助率 | 3 / 4 | 1 / 2 |
1 人当たりの 上限額 |
20万円 | 10万円 |
1企業当たりの 上限額 |
150万円 | 100万円 |
- 成果目標
- 評価期間に1回以上、対象社員が在宅又はサテライトオフィスにてテレワークを実施
- 在宅またはサテライトオフィスでテレワークを実施した日数の週間平均が1日以上である
- 年次有給休暇取得を前年と比較して4日以上増加させる。もしくは残業を前年と比較して5時間/月 以上削減させる。
- 申請締切
申請の受付は2019年12月2日(月)必着です。
国の予算額上限に達した場合は12月2日より前でも受付終了になる場合があります。
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リモートワーク導入で助成金が申請可!時間外労働等改善助成金(テレワークコース)の概要
会社の生産性をあげる方法のひとつとして、リモートワーク(テレワーク)を導入するという方法があります。 リモートワークを導入すると、社員は今まで通勤にあてていた時間も働くことができるため育児や介護のため ...
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IT導入補助金
ITツールの導入や導入にかかるコンサルティング費用を最大450万円支給してもらえる補助金です。
ITツールを使い売上や生産性をあげたいと本気で考えている企業に使われています。経営力の向上・強化したい企業が積極的に活用しています。
2018年までは最大50万円まで支給だったのが、今年から450万円まで支給に変更されています。
採択率アップのコツやパソコンやタブレットの購入は補助対象外などの注意点を下記の記事にまとめていますのでご覧ください。
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2019年版IT導入補助金二次公募の概要と採択率アップのポイント
IT導入補助金とは2017年からスタートした制度。 中小企業や小規模事業者がITツールを使って売上や生産性を向上させるために誕生しました。 2018年度までは最大50万円まで補助だったのに対し、 20 ...
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助成金・補助金を活用して効率よく働き方改革に対応しよう
これまでご紹介した助成金・補助金は「外部コンサルタント費用」も対象になっています。
外部のコンサルタントに入ってもらうことで、自社で大きなリソース(時間や費用)をさくことなく会社を効率化し働き方改革に対応できるのではないでしょうか。
また、コンサルタントは業務改善やITツールに詳しい場合も多く自社に最適な提案をしてくれるでしょう。
自社の社員で一から調べて検討・導入するよりも、はるかに効率よく進むはずです。
上手く助成金・補助金を活用して自社の働き方改革を進めてくださいね。