会社の生産性をあげる方法のひとつとして、リモートワーク(テレワーク)を導入するという方法があります。
リモートワークを導入すると、社員は今まで通勤にあてていた時間も働くことができるため育児や介護のために時短勤務していた人もフルタイムで働くことができるようになったなどの事例があります。
フルタイムで働いている社員もオフィスに出社しないので電話応対などで集中力を切られることなく、自分の業務に100%集中することができますね。
その結果リモートワークを導入すると、オフィスで社員全員が一斉に仕事をするよりも生産性があがりやすくなります。
この記事では新たにリモートワークを導入する場合にもらえる助成金について解説します。
リモートワークでもらえる助成金とは
時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善(※)及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。
厚生労働省時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
リモートワークでもらえる助成金の正式名称は時間外労働等改善助成金(テレワークコース)です。
一見メリットの多いリモートワークですが、導入の際にほとんどの企業では費用が発生するというデメリットも。
たとえば多くの企業では就業規則の作成、クラウドソフトウェアの導入、セキュリティ対策、パソコンの購入などの費用が必要です。
マネージメントの観点からリモートワークを導入することをためらっている企業が多い中、さらに金銭的な負担が大きいとなると企業がリモートワーク導入に二の足を踏んでしまうのも無理はありません。
この助成金の制度は、リモートワーク導入に躊躇している企業の背中を押すいいきっかけになりそうですね。
2019年時間外労働等改善助成金(テレワークコース)の締切
交付申請の受付は2019年12月2日(月)までです。
締切前でも予算の上限に達し次第終了になるので、利用を検討している場合は早めに交付申請を済ませておいてくださいね。
支給額はいくら?
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
補助率 | 3 / 4 | 1 / 2 |
1 人当たりの 上限額 |
20万円 | 10万円 |
1企業当たりの 上限額 |
150万円 | 100万円 |
支給対象となる取組の実施にかかった経費の一部が、目標達成状況に応じて支給されます。
1人当たりの上限は20万円、1社当たりの上限は150万円まで助成金を受け取ることが可能です。
対象になる経費はどんなものがある?
対象経費 | 助成額 |
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、 印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費※ 契約形態が、リース契約、ライセンス契約、 サービス利用契約等 で「評価期間」を超える契約の場合は、 「評価期間」 に係る経費のみが対象 |
対象経費の 合計額 × 補助率 (上限額を超える場合は 上限額 ( ※ ) )( ※ )「1人当たりの上限額」 × 対象労働者数又は 「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額 |
対象となる経費は上記のとおりです。
社労士に就業規則の作成を依頼したり、リモートワークをするためにクラウドサービス(ストレージサービスや人事労務、会計など)を契約した場合、助成金の対象となります。クラウドサービスを年間契約した場合は、評価対象期間の分のみ助成金の対象です。
一見備品に入りそうなパソコン・タブレット・スマートフォンは支給の対象ではないので注意してください。
さらにくわしい例は下記の表をご覧ください。
謝金 | 外部専門家によるコンサルティング費用など (例:リモートワーク 導入に向けて業務の改善案・労務管理 ・現状の分析などを依頼した) |
旅費 | 外部コンサルタントなどの移動交通費など |
印刷製本費 | 就業規則を新たに作成して社員分を印刷した、など |
会議費 | リモートワーク導入に向けたルール作りの会議にかかる費用など |
備品費 | テレワーク用通信機器購入費用など (例:オンラインミーティング用のカメラとマイクなど) パソコン・タブレット・スマホは助成金の対象外です。 |
その他 | リモートワークを進めるためのクラウドソフトなどを導入した 場合は「ソフトウェア」などととし、詳細を記入しておく |
対象になる事業主
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
労働者災害補償保険とはいわゆる労災保険のことです。従業員を雇っている事業所は労災保険加入対象です。(例外として個人経営の農林水産業で労働者数5人以下の場合は対象外です。)
- 次のいずれかに該当する事業主であること
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
中小企業であればほぼ申請できると考えていいでしょう。
- テレワークを新規で導入する事業主であること、又はテレワークを継続して活用する事業主であること
試験的にリモートワークを導入している事業主も対象です。
- 時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善を目的として、在宅又はサテライトオフィスにおいて、就業するテレワークの実施に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できる事業主であること
リモートワークを積極的に取り入れようとしている姿勢が確認できる条件として定義づけられているのがこちらです。
対象になる取り組み
下記のいずれか1つ以上を実施する必要があります。
リモートワークを導入するとなると必要になってくる項目ばかりですが、念のため事前に確認をしておいてくださいね。
- テレワーク用通信機器の導入・運用(※)
オンラインミーティング用のカメラやマイクの購入費用などが対象です。
- 保守サポートの導入
リモートワークは主にインターネット上で仕事を進めるためセキュリティに配慮する必要があります。安全にネットワークを利用するために必要な保守サービスやセキュリティシステムの導入がこれにあたります。
- クラウドサービスの導入
社員のコミュニケーションのためのチャットツール、クラウド上のストレージサービス、その他業務に必要なクラウドサービスを導入する、などがこの項目にあたります。
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
就業規則や労使協定がない場合は社労士に依頼をして作成します。
- 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
外部の労務コンサルタントや社労士に依頼をしてリモートワーク 導入の研修などを行なってもらう場合はこの項目です。
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
自社の現状分析や労務管理のプロセスを調査してもらうなど、リモートワーク 導入前に課題を分析してもらうなどします。
- 成果目標となる設定
評価対象になる期間
成果目標の達成の有無は、事業実施期間(交付決定の日から平成32年(令和2年)2月15日まで)の中で、1か月から6か月の間で設定する「評価期間※」で判断します。※評価期間は申請者が事業実施計画を作成する際に自ら設定します。
厚生労働省時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
評価期間とは成果目標を達成するために必要な期間のことです。
事業実施計画を作成する際に事業主が自分で設定します。
申請方法
時間外労働等改善助成金の公式サイトに申請マニュアルが掲載されています。
下記からもアクセスできますのでご確認ください。
まとめ
「リモートワークを導入すると助成金が出るなんて知らなかった!」という企業も多いのですが、働き方改革の一環として実はご紹介したような助成金制度があります。
近年は少子化の影響で人の採用も困難になってきています。
そんな時にせっかく自社の仕事を頑張ってくれている人をみすみす育児・介護離職などで手放すのは会社としてもダメージが大きいはず。
リモートワークを取り入れ、働く環境を整えると自社の優秀な人材の流出が防げるかもしれません。
繰り返しになりますが、交付申請の受付は2019年12月2日(月)まで。
申請を検討している場合はお急ぎくださいね。