経理を採用したいと考えたときに、どんな人を採用したらいいのか人物像の設定がむずかしいですよね。
自分自身が経理を担当したことがあるのであれば人物像も想定しやすいのですが、そうでない場合はイメージするしかありません。
「経理だからまじめでちょっととっつきにくそうな人を採用する?」
「とりあえず簿記を持っていたらいい?」
そんな経理向き人材のイメージを固めるために、「これは経費で落ちません!」という漫画を読んでみませんか?
この漫画に出てくる経理社員は企業がノドから手が出るほど欲しい人物像のはずです。
ドラマ「これは経費で落ちません!」のあらすじ
入社以来、経理一筋の森若さんが主人公の物語です。
経理が主役の物語ってめずらしいですよね。
経理から社内の人間模様が見えてくるストーリーです。経費精算の違和感、請求書から見えてくる違和感。こういった妙に引っかかる点は、後々本当にトラブルになったりするものです。
主人公の森若さんは他の経理社員が見逃しがちな違和感をするどい勘でキャッチし、真相を突きとめます。
原作は青木裕子さん作
森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができてしまい、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ち込んだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる?
引用:集英社オレンジ文庫
【 #これは経費で落ちません !】スタッフブログまた更新しましたよ~。 #岡崎体育 さんと共演者たちのツーショット!さて今夜はどんなお話になるでしょうか。https://t.co/PFtJIdbSar
— NHKドラマ (@nhk_dramas) August 9, 2019
「これは経費で落ちません!」は集英社オレンジ文庫から全6巻出版されています。2016年に第1巻の販売がスタートし、2019年7月まで続いた漫画です。
2019年7月からは多部未華子さん主演でテレビドラマ化されました。
理想的な経理向きの人材はこんな性格
結論からいうと経理はまじめでルールを守れる人が向いています。
これはイメージ通りではないでしょうか。
さらに経理に必要な要素はグレーゾーンを自分の頭で考えられること。
ルールの則って淡々と仕事をこなすイメージの経理ですが、実はそれだけでは不十分。
自分の頭で考えて判断する力こそ経理として価値がある人物像です。
まじめ
- ルールはきちんと守る
- ホウ・レン・ソウをしっかり行う
- 納期を守る
- ミスを隠さず報告する
こんな人はまじめだと言えます。経理に求められる素質として大切なのは信頼できること。
会社の大切なお金を管理する仕事なので信頼できなければ任せることができません。まじめに仕事をする人でないと信用は勝ち取れないでしょう。
仕事であれば人から嫌われることも厭わない
森若さんは素敵!
仕事一筋で真面目😌自分が正しいと思うことは誰に対しても貫き通す😊一見地味系に見えそうで実はそうでもなく、ネイル💅とかも可愛くて、経理部捜査一課みたいなことしたり、仕草も可愛い…それでいて誰でも好かれたいのに、会社の為に嫌われ役も受け入れて…#これは経費で落ちません— はな花右衛門 (@Hana06Gerbera09) August 3, 2019
経理社員が他部署にいくと、他の社員からかまえられるのは経理あるあるです。声をかけると面倒くさそうにされたり、怖がられたり。
そういった社員にもきちんとミスを指摘して書類を修正してもらう必要があります。
ドラマの中で森若さんが「社員から嫌われることも仕事の一部です」と発言していました。

経理社員も本当は10円単位の間違いなんて指摘したくないんです。いやな顔をされると経理担当者もいやな気持ちになるのは当然。
しかしきっちりと数字を合わせることも経理社員の大事な仕事です。
自分の仕事をきちんとこなすために、嫌われることも覚悟できる人は経理に向いていると言えるでしょう。
融通をきかせない
些細なミスであれば融通をきかせてあげたくなるもの。
しかしそれをグッとこらえて会社のルールに則って書類をつき返すことができるのがプロの経理担当者です。
たとえば東京ー大阪間の新幹線代などは東京から乗車したのか、品川から乗車したのかで料金が違います。
この金額の間違いがとても多いんです。金額の違いは乗車駅の違いによるものだと経理社員も分かってはいるのですが、申請した本人に修正してもらわなければいけません。
些細なことでも融通をきかせてルールを破ると、そこからどんどんルールが曖昧になり取り返しがつかない重大なミスにもつながりかねません。
経理社員は融通をきかせない鋼のメンタルが必要です。
エビデンスをきちんと確認する
経費で購入したものがちゃんと売上を上げるために使われているのかチェックするもの経理の仕事です。
「これは経費で落ちません」の物語の中では広報社員が経費で申請した衣装がちゃんと広報活動に使用されているかチェックするシーンがありました。
一見とてもムダに見える作業ですが、誰かの監視の目がないと不正につながることも事実。
エビデンスのチェック機能が働いているからこそ、社内で不正や横領など重大な犯罪につながる前に防げているのかもしれません。
この漫画の中でもちょっとした出来心を小さな芽のうちに摘んでもらい、何人もの社員が救われていたように見えました。
自分の頭で考えられる
「仕事とは、きっちりと働いて責任を果たし、働いた分の給料を適正に貰うこと」
『これは経費で落ちません!』第2話、仕事のできる森若さんが、魅力的&爽快。真面目だがガチガチではなく、相手の立場も考慮した上で自己主張ができる柔軟さが心地良い。山田くんとのお付き合いが上手くいくと良いな。— しゅう (@caerula3104) August 7, 2019
主人公の若森さんは「これは経費で落としてもいいのか」「この経費は売上を立てるために使われているのか」など自分の頭で考えて判断ができる人です。
経理をやりたい人の中には経理はルール通りに処理すればいいからラクだと考えて志望する人も一定数います。
しかし今の時代、ルール通りに処理するのではあればITツールが変わりに作業してくれます。決められたルール通りに作業をすることは機械の一番の得意分野です。
いまの経理に求められることは自分の頭で考えること。融通はきかせてはいけないけれど、自分の頭で考えることはとても大切です。
数字に違和感があったり、何か引っかかるものがある場合は必ず原因が隠れているもの。
こういった違和感を感じたものに対して主体的に動けることが大切です。
これは経費で落ちません!の主人公があと一歩なところ
一般的に経理の仕事をする人は保守的だと言われています。その保守的な性格が経理向きだという側面があることも事実。
ですが今、世間では働き方改革が進み、企業も生産性をあげようとあの手この手を考えています。
そんな中で経理を効率化できるITツールが開発され、導入する企業も増えています。
この漫画の主人公森若さんに少し足りない点は「いまある業務をいかに効率よく進めるか」という問題意識です。
経理を効率よくこなすという視点でこの漫画を読んだ時、作業効率を改善できる余地が沢山あります。
ここからは具体的に森若さんにどんな風に変わってもらえるともっといいのか解説します。
手書きの仕事はなくせないか?と考える積極性
現金出納帳を手書きで記入して、さらに会計ソフトに転記しているシーンがありました。
これは典型的な二重作業。会計ソフトに直接入力していくか、それができないのであればエクセルに入力して会計ソフトにファイルをインポートするなどの工夫ができます。
また、現金は「管理コスト」が高い作業のひとつ。なるべく現金をなくせるようにすれば業務の効率が上がります。
このように今ある仕事をさらに効率よくこなすために、積極的に疑うことが大切。
小口現金をなくす方法はこちらの記事をご覧ください。
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ITツールの導入を検討する主体性
経費精算や会計ソフトなど、ITツールを導入すればもっと経理部の効率が上がるのにと感じました。
たとえば経費精算であればわざわざ営業社員が経費精算書を持って経理部を訪れています。
さらに上司の承認印を貰ってから提出しているため、経費精算書類を作成する負担は大きいはず。そして軽微な金額の間違いのために、また自分の席で書類を修正して上司に提出して、経理部に提出する・・・となるととても手間ですよね。
こういった手間をなくすために経費精算ツールを導入するなどの工夫があればいいなと感じました。
ツールの導入にはもちろん費用がかかりますが、会社全体で考えた場合、経費精算にかかる人件費はかなりの額になっているはず。無駄な人件費を削減し、売上を上げるためにも経費精算ルールの導入は有効です。
今なら経産省が推進しているIT導入補助金があり、補助金を活用すれば初年度にかかる費用の最大50%を補助してもらえます。
こういう補助金制度もあるのになぁとドラマなのにもったいなく感じてしまいました。
くわしくは下記の記事をご覧ください。
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まとめ 自分の頭で考えて行動できる経理を採用しよう
経理はただまじめでルールさえ守れればいい仕事ではありません。
グレーゾーンを状況に基づいて判断したり、社員とほどほどの距離感でコミュニケーションを取れることも経理の仕事のうち。
また、日々作業効率を上げるための情報のキャッチアップや効率化のための舵取りなどができるとさらに価値のある経理社員だと言えます。
そのためには自分の頭で考えて行動できる人というポイントがとても大切。
「これは経費で落ちません!」の森若さんのような人が実際にいたら採用して間違いなしの人材です!
