経理の大きな仕事の1つに経費精算があります。
経費精算は効率化しておかないと手間がかかり、社員が増えた時にとんでもない業務量になります。
ある程度の規模になると経費精算だけをする経理担当者がいたり、とにかく手間と時間がかかるのです。
私にも経費精算の苦い思い出があります。
以前営業をしていて、その時の経費精算書がなんと手書きの書類だったのです。

書き間違いや計算間違いでその度に全部書き直して、書類を1枚作成するのに1時間近くかかっていました。

と何度思ったことか。(ですがオツボネ経理さんだったので言うに言えずでした・・・)
最近では経費精算の効率化ノウハウやシステムの開発も進んできました。
この記事では経費精算を効率化するための方法を解説します!
経費精算に手間がかかる原因7つ
経費精算は効率化しておかないと本当に手間がかかります。
企業によって状況が違ってくるかと思いますが、手書きで精算をしていたり、現金精算、都度経費精算をしている、移動交通費が多い・・・など問題となる点はどの企業も共通しています。
経費精算の効率化を考えるために、第一歩として経費精算の問題点を把握しましょう。
手書きで経費精算をしている
経費精算の申請書だけフォーマットで用意されていて、それをコピーして使っているパターンです。
手書きのため申請者は記入にとても時間がかかります。
また申請者の手書きの文字が読みづらい場合、経理担当者も解読に時間がかかってしまうことも。

都度経費精算をしている
営業担当者から経費申請が回ってくる度に経費精算をしていませんか?
すぐに経費精算をしてほしい・してあげたい気持ちは分かります。
ですが会社として経理の効率化を考えた時に、都度経費精算をしていては時間のむだです。
現金で経費精算をしている
現金で経費精算をしている場合、経費精算の他に現金管理の時間もかかってきます。
下記の赤文字が現金で経費精算をした時に発生する現金まわりの作業です。
経費精算書チェック
↓
金庫から現金をだす
↓
経費申請者に現金を持っていく
↓
小口現金出納帳に記入
↓
会計ソフトに入力
↓
現金残高をダブルチェックする
経費精算を都度、現金で行なっている場合はこのような作業が毎日行われていることになります。
ルール違反がないかチェックをしながら進めている
たとえば交通費を申請する場合、定期区間に含まれる移動は控除しなければいけません。
ですがうっかり申請してしまう人も多いポイントです。
また定期区間分を経費として申請するのは、実は典型的な不正の手法です。
会社の書籍代なども「1,620円/月までは会社で支給」というルールがあるのにも関わらず2,160円の申請書が回ってくることも。
こういった細かいチェックに時間をかなり取られてしまうのです。
電車代などの交通費が多い
訪問先への経路を調べるためにネットで経路検索をして、経費申請をする際にまた路線検索で交通費を調べている方も多いのではないでしょうか。
このような2重作業が積み重なるのはもったいないですよね。
そして経理担当者が申請内容をチェックするためにまた路線検索を行なったら会社全体では3重作業です。
交際費など疑問点の確認に時間がかかる
取引先の接待などで飲食店に行った場合、何人で行ったのかが経費が会議費にできるか交際費になるかのポイントです。
経費精算書に誰と何人で行ったのかが書かれていない場合、それを確認するために経費申請者に質問します。
ですが営業担当だと外出が多くなかなかつかまらないもの。
ちょっとした疑問点の確認にも時間がかかってしまいます。
上司の承認にタイムラグがある
経費精算をするために上司のチェックが必要な場合。上司が出張で1週間ほど不在にしていると、その間経費精算が進みません。
その間、経理担当者の仕事は滞ってしまいます。
上司が出張中でも経費精算を承認できる仕組みが必要でしょう。
経費精算を効率化する7つの方法
経費精算を効率化する方法を簡単な順からご紹介します。
1は今すぐにでも取りかかれる内容。
7に近づくにつれてプロセスの変更やシステムの導入が必要になっていきます。
経費精算は多くの社員が負担に感じている作業です。
私が営業をしていた頃は1ヶ月のうち1時間程度経費精算の書類作成に費やしていました。
仮に社員が100人いる企業で毎月1人1時間経費精算に時間を割いているとすると、月間100時間になります。
ちなみに日本全体で経費精算に費やしている時間は・・・社会問題と言ってもいいレベルですね。
リモートワーカーを活用した経費精算システム
#ivs2019 pic.twitter.com/TMnjt6LM4N
— 木暮康雄@ウリドキ社長 (@kogurey95) 2019年7月12日
経費精算の時間を減らして本来の業務に充てられるよう、効率化する方法をくわしく解説します。
1.経費精算書をエクセルで作る
まず、経費精算書を手書きにしている場合はエクセルでフォーマットを作成しましょう。
経費精算で必要な項目をピックアップしました。
エクセルのフォーマットに下記の項目は必ず入れておいてくださいね。
- 部署名
- 氏名
- 申請日
- 経費を使った日付
- 金額
- 内容
- 支払先
- 備考
2.現金で経費精算をするのをやめる
現金で経費精算をすると、小口現金管理コストが発生します。つまり、現金を数えたり・金庫から出したり・小口現金出納帳に記録したり・・・と行った作業を行う必要があります。
経費精算に限らず、小口現金を会社からなくした方が経理の効率化につながります。
小口現金をなくす方法はこちらの記事にくわしく書いています。
くわしくはこちら
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3.経費精算の頻度を月1回にする
業務改善のポイントの1つに、同一業務を集約するという方法があります。
同じ作業は同じタイミングで一気に行なった方が作業効率が上がるのです。
経費精算も都度行なっていたのでは経理の効率はあがりません。
そしてひとつ上のポイントでもお伝えした通り、現金で経費精算をするのではなく、給与と一緒に社員が立替えた経費を振り込みます。
こうすることで経費精算は月に1度になり、現金で経費精算をすることもストップできます。
ちなみに会計ソフトfreeeと人事労務freeeを使うと、経費精算を給与明細に反映して振り込むことができるため便利ですよ。
4.社員にコーポレートカードを持たせる
社員にコーポレートカードを貸与し、経費はコーポレートカードを使ってもらいます。
カードを使用することで社員は領収書の提出や経費精算書の提出が不要になります。

経理側も領収書と経費精算書のチェック(主に金額の相違)が必要なくなるため、効率よく処理することができます。
また、カードを利用するとカード利用明細書が領収書代わりになります。
社内規定でカード決済時も領収書が必要であれば、提出しなければいけませんがそうでなければ利用明細書だけでOK。
さらにクレジットカードのデータをAPI連携できるクラウド会計ソフトを利用していれば、明細を会計ソフトに打ち込まなくても自動でデータを取り込んでくれます。
ちなみにカード決済で事前に考えておかなければいけない項目は下記の3つです。
- カード利用のルールを作成する必要がある
- カードを社員全員に渡すかどうかの検討
- 経費を使いすぎる社員がいる場合の対策
これらがクリアできるのであれば、社員にコーポレートカードを持たせても運用していけるでしょう。
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5.画像で領収書を提出する
エクセルで作成した経費精算書を社内の共有フォルダ(GoogleDriveやDropBoxなど)に格納。
さらに領収書もスマホで撮影して同じフォルダに格納していく方法です。
この方法のメリットは出張が多い社員の場合でも、出張先から経費精算の書類を提出することができます。
後日、領収書の原本を経理に提出すればOKです。
6.画像+会計ソフト上のシステムで経費精算書を提出する
ここからは会計ソフトを導入する段階・もしくは会計ソフトの変更を考えている方限定になってしまうのですが、会計ソフトfreeeの経費精算の仕組みがとても便利です。
会計ソフトfreeeでは経費精算システムを利用することができます。
経費精算専用のシステムのように高度なことはできませんが、一般的な経費精算なら十分活用が可能。
まず領収書の写真を撮影し、ファイルボックスへ保管
↓
経費精算の画面で経費を入力
↓
入力した経費に対して、先にファイルボックスに保管しておいた領収書の画像を添付することができるのです。
交通費を申請する場合、freeeの経費精算は経路検索サービスの「駅すぱあと」と連携しているため、乗車駅と降車駅を入力するとその経路の電車代が表示されます。
さらに申請・承認された経費は人事労務freeeとワンクリックで連携、給与明細に経費を反映、銀行の振込データまで一気通貫でできてしまいます。
さらにfreeeに登録された領収書にタイムスタンプのプロセスを踏んでおくと、電子帳簿保存をすることができます。つまり領収書を7年間保管せずに処分することが可能です。

7.経費精算システムを導入する
経費精算専用のシステムを導入するメリットは3つです。
- 社内の独自のルールを反映できる
- 交通費の定期区間を控除できる
- API連携できるシステムと会計ソフトだとデータを連携できる
特に社内独自のルールを登録しておくだけでエラーが出るようにルールの登録しておけば、経費精算のチェックの手間を大幅に削減することができます。
また「ベテランの経理はミスに気がつけるけど新人はルールが頭に入っていないから気が付けない」といった業務の属人化を防ぐことができます。

まとめ 経費精算を効率化させるコツはキャシュレス
経費精算の効率化は多くの企業が悩むポイントです。
効率化を進めるコツはキャッシュレス。
クレジットカードを社員に持たせればそもそも経費精算書を提出してもらう必要がなくなり、申請者の手間は一気になくなります。
月に一度振り込む経費精算ルールにすれば、同一作業をまとめて行えるため時間の削減につながります。
さらにシステムを利用した経費精算プロセスに切り替えれば、経費精算の申請もチェックも格段にラクになります。
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