支払日を集約することは経理の効率化にとても有効です。
納品書・請求書チェックやインターネットバンキングに支払を入力するなどの作業が集約されるため、作業効率が上がります。
一方で請求書は届いたら都度支払っているという企業も少なくありません。
実は都度支払うのは経理の作業効率がとても悪いんです。
同一作業はまとめて行い、頻度を減らすと時間効率が上がります。
「請求書が届いてインターネットバンキングから支払い、各種ソフトへ入力していく」という作業はまさに同一作業。

経理効率化のために支払日の統一はマスト

はじめにチェックする項目の1つが支払日と支払い頻度です。
請求書が届く都度、支払をされている場合は月末支払いにしてもらうようお伝えしています。
特別な業種でどうしても都度支払いが必要な場合は別です。
ですがそれ以外の業種の場合、
都度支払っていては時間のロス。
支払日の統一は特別なツールも必要なく費用も一切かかりません。
それでいて効率化することが可能なのです。
事務作業をまとめることによる時間コストの削減
支払業務は大体の企業の場合、五十日(ごとおび)ごとに設定されています。
五十日とは5日・10日・15日・20日・25日・30日(または月末)のこと。
支払業務については都度振込にしていて五十日ごとにもなっていないかもしれません。
支払をした時に発生する具体的な業務は下記の通りです。
- 買掛金の集計
- 納品書と請求書のチェック
- 銀行の振込伝票を作成またはインターネットバンキングで振込予約
- 上司の承認
- 通帳記帳
- 会計ソフトへの入力
- 買掛金リストの更新

この業務を月に1度にまとめることができれば作業時間削減・人件費の削減につながります。
支払日の決め方の基本ルール
支払日は大体、月末に締めてから1ヶ月以内に支払うことが一般的です。
遅いと60日後、なんてこともありますが少数派です。
取引先という相手が存在することなので全て社内で完結するわけではありませんが、まずは社内でルールを決めて取引先にも伝えましょう。
ではどのように支払日を決めるのか具体的に解説します。
まずは契約書で請求・支払いのルールを確認する
取引先で契約書がある場合はまずは契約書の中身を確認しましょう。
支払日について記載されている場合は、契約書の内容を優先します。
支払日は月末締め翌月末払いに統一する
契約書に支払日について記載がない場合や、そもそも契約書がない場合は月末締め翌月末支払に統一してしまいましょう。
月末に統一するメリットは2つ。
1つめのメリットは支払業務の集中を防ぐため。
給与などは大体15日〜25日に支払われます。
支払で月末に経理業務が一極集中するのを防ぐため、給与と経費の支払は分けておいたほうがいいでしょう。
2つめのメリットは1ヶ月の経費が把握しやすいため。
都度支払いだと前々月の経費の請求書・前月の請求書・当月の請求書などを届いた順に支払っていることになります。
そうなるとその月にかかった経費が把握しにくくなり、いつまでもその月にかかった経費が確定しません。


月末締め翌月末支払いのルールにしておくと、その月にかかった経費が把握しやすく試算表の数字も信用できるでしょう。
ちなみに月末が土日祝日の場合は前日かその翌営業日に支払いましょう。
一般的に支払いは土日祝の翌営業日にされることが多いようです。
一方で取引先からは土日祝の前日に支払った方が喜ばれます。

支払日を変更したい場合は事前に取引先に相談する
請求日を変更したい場合は取引先の締め・支払日に関わるため、必ず事前に取引先へ相談しましょう。
無断で支払日を遅らせると会社の経営状況を疑われたりなど信用問題になりかねません。
まずは一言「経理作業の効率化のため、支払を月末締め翌月末支払にしたい」と伝えておきましょう。
請求書の受け取り期限も伝える

翌月10日までに請求書をもらうことは全く厳しいルールではなく、普通に経理をしている会社であれば当たり前のように受け入れてもらえるはずです。
特に何も言わなくても10日もあれば請求書が送られてくる会社がほとんどだと言えます。
念のためルールを作成した際に取引先に請求書は翌月10日までに手元に届かないと、支払は翌々月になってしまうことをお伝えしておきます。
ズルズルと請求書の回収が遅れて、経費の確定が遅れることを避けるためです。
1ヶ月に使った仕入れや経費が確定しないということは利益も計算できません。
そうなると経営判断も後手後手になってしまいます。
経営判断の早期化のためにも請求書は翌月10日以内に回収しましょう。
月末締め翌月末支払いの例外対応について
「月末締めには対応できない」「翌月末振込では困る」といった取引先も中には出てくる可能性があります。
その場合は毎月10日までに請求書を受け取れた分は月末支払、それ以降の受け取り分は翌月末支払いにするなどの対応を取ります。
それでも難しい場合は、支払日をもう1日設定します。
たとえば下記のようなルールです。
- 10日までに受け取った請求書は月末支払い
- 20日〜月末までに受け取った請求書は15日支払いにする
どうしても例外は起こってしまいますが、例外対応ばかりしていては都度支払いのプロセスと変わりません。

まとめ 支払日の統一は経営判断の早期化にもつながる
支払日を都度支払から月末締め翌月末支払に変更すると、経理の作業効率アップ・時間削減になります。
請求書を翌月10日までに回収するというルールを運用した場合は、
翌月の10日までにその月に使った経費が確定されるため、
経営判断の早期化にもつながります。
支払日の変更は特別なツールは必要ありません。
「社内でルールを決めて→取引先に連絡をして了承をもらう」
このシンプルなプロセスで大きなメリットを得ることができます。

こちらもおすすめ
-
-
【現役経理コンサルタントが解説】経理業務を効率化するための8つの方法
日々の経理業務を効率化して、生産性をあげたいというお悩みをよく耳にします。 経理にかかっているコストを、できれば売上をつくるために使いたいですよね。 経理はルーティーン作業が多い部署なので、工夫をすれ ...
続きを見る