経理の仕事の流れ=経理プロセスを見える化しよう!
と動き出したとき一番初めに立ち止まる壁は

ですよね。
経理プロセスは会社の中でも特に属人化しやすいところ。
経理は業務ひとつひとつを丁寧にひろって分解して考えないと、経理を見える化できたと思っても実はまだ属人化した仕事が隠れていた・・・なんてことになりかねません。
会社として、ある特定の社員だけにノウハウが蓄積されているのはリスクです。
会社で蓄積されたノウハウは標準化し、誰がいつどこで対応しても同じ品質に保てる状態が理想ですよね。
そのための第一歩として経理プロセスを見える化する必要があります。

経理業務が属人化しやすい5つの理由
経理は業務が属人化し、「○○さんしかこの仕事ができない」という状態になりやすい部署です。
ですがこの状態は会社にとって健全とは言えません。
経理担当者が突然体調を崩したり、退職したりするリスクがあります。
また、他の人が経理の仕事がわからないために「経理の○○さんが言うことは絶対」という暗黙のルールができ、社内で経理が権力を持ちすぎることが起こり得ます。
ではなぜ経理が属人化しやすいのか、くわしく理由を解説します。
経理担当者が少ない
中小企業では経理担当者が1人なんてこともよくあります。
経理が1人だから、属人化するもの無理はありません。
ですがこういった状態だと突然の体調不良や退職などで経理担当者が会社に来れなくなったことを考えるとリスクが大きいです。
また、経理担当者の個人レベルで業務の効率化をしてエクセルにマクロを組み、その担当者しか触れない秘伝のエクセルで業務を行っていることもよくあります。
経理は専門知識が必要
経理は簿記の専門知識が必要です。
また、経理経験によってさらに専門知識が蓄積されていくものです。
専門知識が必要だという特徴から、他部署や社長から見ても問題点が見えにくい・分かりにくいのです。
1人で仕事をした方が重複作業が起こりづらい
例えば会計ソフトへの入力作業ですが、複数人で対応すると二重に入力してしまったりとミスが発生しやすくなります。
自己保身のため
仕事が属人的ではなくなる=マニュアル化されて誰にでもできる仕事になるということ。そうなると今担当している仕事は自分ではなくてもいいと自覚せざるを得ません。
会社に自分の居場所がなくなるかもしれないと薄々気が付いているため、マニュアルを作成せずに仕事を属人化している場合があります。
マニュアルを作成する時間がない
業務量が多すぎてマニュアルを作成する余裕がなく、結果的に仕事が属人化していることがあります。
経理プロセスを見える化する目的
仕事を見える化するといいとよく聞きますが、見える化できると具体的に何がよくなるのでしょうか。
答えは1つ。
属人化してしまっている業務を標準化させるため。
では具体的に解説します。
属人化している経理プロセスを洗い出し標準化させるため
経理プロセスが属人化していると色々なデメリットがあります。
代表的なものが、経理担当者が突然退職した場合、他の誰も経理について分からない状態だと大変危険です。
得意先に対する請求書発行漏れや入金確認ミスによる二重請求、仕入先に対する支払い漏れなどが発生すると会社の信用に関わります。
また、属人化した仕事はミスの隠蔽が起こりやすく、後々大きな問題に発展することも。

経理のプロセスを見える化する3つのメリット
経理プロセスを見える化するとメリットしかないのでは?と思うほどメリットが強いです。
ですが実際には一部デメリットもあります。
それは経理が見える化される=誰でもできる仕事になってしまうため、経理担当者のモチベーションが下がってしまう可能性があります。
今まで自分にしかできない仕事だと思っていたのに、そうではなくなるため自分の会社での居場所がなくなるんじゃないか・・・と不安になってしまうんです。

業務の属人化を防げること
冒頭から繰り返しお伝えしていますが属人化が防げることは本当にメリットなんです。
何年も同じ担当者が同じ業務をしているとどうしても仕事が属人化しやすくなります。
実は効率化できる仕事もその担当者が気づかなければそのままになってしまいますよね。
属人化を防ぐことで会社全体に経理プロセスのノウハウが蓄積され、経理に関わるリスクを減らすことができます。
引き継ぎコスト・教育コストの削減
仕組みが見える化されていることで担当者交代や新しい社員が入社したときも引き継ぎがスムーズになります。
引き継ぎには大体1ヶ月程度時間がかかるものですが、経理全体が見える化されているため全体を把握しやすく、引き継ぎも短期間で終えることが可能。

業務効率化プロジェクトの成果が分かりやすい
業務効率化をした後、どのプロセスを変更したらどれくらい時間短縮や人手の短縮につながったのかが分かりやすくなります。
他部署でも業務改善をする場合、こういったノウハウが社内にあるととても役に立ちますよ。
経理のプロセスを見える化する3つのステップ
経理プロセスを見える化するには、経理に関わる業務や人、ツールをすべて書き出すことです。
まずは現在の経理プロセスをすべて書き出すので属人化から一歩脱却することが可能。
現在の経理プロセスが細かく分かれば、作業が二重になっている点・ツールを導入すれば圧倒的に効率化できる点・本来必要ない業務など改善案が考えやすくなります。

経理で発生する業務を書き出す
主な経理業務は下記のようなものがあります。
その他、自社特有の業務がある場合は追加して書き出してください。
- 売上に関わる業務
- 支払いに関わる業務
- 経費精算に関わる業務
- 給与計算に関わる業務
業務ごとに登場する人物・書類・ツールを書き出す
下記の表を参考に書き出してみてください。
経理効率化プロジェクトの担当者と経理担当で作成するといいでしょう。
業務 | 登場人物 | 書類 | ツール |
売上 | 社長 営業部 経理部 得意先など |
請求書 領収書 契約書 売掛金リスト 支払い通知書など |
販売管理ソフト 会計ソフト 銀行口座など |
支払い | 社長 購買部 経理部など |
納品書 請求書 買掛金リスト 支払い一覧など |
会計ソフト 銀行口座など |
経費精算 | 社長 役員 営業部 経理部など |
領収書 レシートなど |
会計ソフト 社内経費精算申請ソフトなど |
給与関係 | 社長 経理部 社労士など |
タイムカード 給与明細など |
勤怠管理ソフト 給与計算ソフト 会計ソフトなど |
業務ごとにプロセスをチャート図にし第三者にチェックしてもらう
たとえば売上を例に見ていきましょう。
営業が販売管理ソフトに売上データを入力
↓
経理がデータを出力して請求書を作成する
↓
切手を貼り、郵送する
↓
売掛金データを会計ソフトに入力
↓
社長にエクセルで作成した売掛金リストを提出
↓
得意先から銀行口座へ入金
↓
経理部で入金チェック
↓
会計ソフトで売掛金の消し込み
↓
未回収の得意先リストを作成し社長と営業に共有
実際にはもっと細かくなりますが、このように売上がたってから入金までのプロセスがどうなっているのかをチャート図で作成します。
チャートを作成したら、経理担当者と社内の第三者に抜けモレはないかチェックしてもらいましょう。
第三者が入ることで不明な点を指摘してもらいやすくなります。
また、細かくプロセスを書き出し、チャート化することで経理業務で二重作業になっている点や効率化できる点を見つけやすくなりますよ。
経理プロセスの見える化に割く時間がない場合
経理の見える化をなんとかしないといけないのは分かっているけれど、目の前の仕事が忙しすぎてずっと後回しになってしまっている・・・なんてことも現場ではよくあります。
ですがそのままずっと放置しておくのはとてもリスクがあります。
この場合は業務改善コンサルにお願いするか、経理プロセスを根本から変更したい場合は経理代行業者が対応してくれます。
まとめ
経理プロセスを見える化するためには、今どんなプロセスで誰が何をいつどうやってやっているのかを丁寧に書き出し、チャート化していくことが大切です。
冒頭でもお伝えした通り経理は本当に属人化しやすい部署。属人化してしまっているため、経理プロセスの洗い出しにとても時間がかかることが多いです。
現在の経理プロセスをきちんと見える化できていると、次のステップの業務設計がとても考えやすくなります。