会社の業務効率化を検討した時に「会社に経理を置かない」という選択肢があります。具体的には経理を経理代行会社にアウトソースするという方法です。

とよく聞かれますが、

しかし経理を置かない良い点・困る点があるのも事実。
本当に経理をなくしても大丈夫なのか心配ですよね。
この記事では会社の経理をすべてアウトソースするとどんなメリット・デメリットがあるのか詳しくお伝えします。
経理を雇わないメリット4つ
冒頭でもお伝えしたとおり会社で経理を雇わずにどうするのかというと、経理をすべてアウトソースするという方法があります。
経理をアウトソースするのに向いている会社と向かない会社がありますが、向いているなら絶対にした方がいいです。

経理をアウトソースするメリットは4つあります。
人件費のコストダウンにつながる

正社員 | パート(2人) | 経理 アウトソース |
|
給与 | 25万円 | 16万円 (8万円×2人) |
10万円〜 |
通勤定期代 | 1万円〜 | なし | なし |
社会保険料 会社負担分 |
約3万円〜 | なし | なし |
正社員の経理を雇った場合、給与25万円+交通費1万円+社会保険料3万円=約30万円のコストがかかります。
経理社員が2人いた場合は毎月60万円です。
経理をアウトソースすると会社の規模によりますが10万円〜アウトソースができます。
また、経理をアウトソースすると社員のように社会保険料の半額負担やボーナスの支給も必要ないため、人件費のコストダウンが可能。
パート社員と経理アウトソース会社のコストを見比べた場合、パートを雇う方が人件費は抑えられるのでは?と思われますよね。
実際1人でバリバリできる経理のスタッフがいればパートの方が人件費を抑えられます。
ですがそんなにできる経理の人がパートをし続けてくれることは・・・


そのパート社員が退職した後、同レベルのできるパート社員が雇える確率はかなり低いでしょう。

経理業務が属人化しない
経理をアウトソースすると同じ社員が長年同じ業務をすることがなくなるため、経理の属人化を防ぐことができます。
経理が属人的になっていると経理社員が突然退職した場合、経理について誰も何も分からず、支払いが漏れるなどのトラブルが起こり仕入先からの信用問題に関わります。

経理担当者の突然の退職リスクがなくなる
社員が退職すると、引き継ぎ・新しい担当者の求人・採用・教育などいろいろなコストが発生します。
また、十分な引き継ぎ期間がなく前任の経理担当者が退職してしまった場合、次の担当者を採用しても仕事をきちんと理解できていないことがプレッシャーになりすぐに退職してしまうことがあります。
このような引き継ぎが十分にできない負のループは続きやすく、経理が安定しないので試算表の精度が下がり、経営判断が遅れてしまうという事態につながります。

社員の給与金額など繊細な情報を経理に知られない
経理担当者が社員の給与計算や給与振込を行なっていることもありますよね。

なんてトラブルはよくある話です。
また、社員に給与の金額を知られたくないから社長の身内の方に給与計算と振込だけやってもらっているという会社も多いです。

経理を雇わないデメリット3つ
経理を雇わずアウトソースすると一見メリットばかりに見えます。
しかし経理をなくすことに向いている会社・向いていない会社があります。
生産性を上げるために経理をなくして会社が混乱状態になってしまっては本末転倒。

では会社に経理がなくなると発生するデメリットは3つを詳しく解説します。
会社に経理のノウハウがたまらない
経理をすべてアウトソースした場合、自社の経理のフローや経理ノウハウに詳しい人が社内にいなくなります。

経理をアウトソースする前に、契約を終了する前には引き継ぎをしてもらえるのか、また引き継ぎ書をもらえるのか、引き継ぎ期間はどれくらいで費用はどれくらいかかるのかなどチェックしておく必要があります。
現金の管理ができなくなる
経理担当者がいなくなるので、現金を直接さわって管理する人がいません。
なので現金の管理ができなくなります。
現金がなくなって困る場面は下記のパターンが多いです。
- 社員の経費精算
- 代金引換の荷物の受取り
- 切手・印紙の購入
- 備品の購入
ですが上記は現金がなくても解決できます。
方法は3つあります。
1つ目は社員に経費を立替えてもらって、給与と一緒に振り込む方法。
この方法のデメリットは立替えた分のお金が月に1度しか社員に振り込まれません。

「経費精算が遅くて手持ちがない!」などの不満が出るかもしれません。
2つ目は社員用の法人カードを作ってカードで精算してもらう方法。
これは社員全員にカードを渡すのか外出の多い営業だけにするのか、ETCやガソリンの給油の時だけ使用OKにするのかなどルールを設ける必要があります。

3つ目は仮払いで経費を先に社員に渡しておいて、使った分だけ月に1度振り込んで補充していく方法。
たとえば仮払いで10万円を先に渡しておいて、後から使った分だけ経費精算書を提出してもらい補充します。
退職するときには全額返金してもらいます。デメリットは仮払いで渡したお金を私用で使ってしまう社員がいることです。

帳簿の記入・残高確認・金種確認・過不足の原因追及など、現金があるだけでこれだけの業務が発生します。
現金管理をなくすだけでも経理は効率化されますよ。
雑務をする人がいなくなる

経理担当者はほとんど社内にいるため、来客対応、電話対応、備品の発注などを行なっていることが多いです。
また、経理をアウトソースするにしても郵便物や領収書をアウトソース先にスキャンしてデータで共有することがあります。
こういった細々した作業を誰がするの?ということが問題になります。
解決策は雑務だけしてくれる人をパートや派遣で雇うこと。
経理担当者を採用しようとすると、そこそこの給与を支払わないとちゃんとした経理の人の採用は難しいです。
ですが簡単な雑務だけしてもらう人を雇う場合は求人を出しても人が集まりやすく、経理のような専門知識も必要ないため採用しやすくなります。

今まで経理を担当していた社員はどうなるの?
経理をすべてアウトソースした時に、

よくある2つのパターンは会社の経営分析などより高度な仕事をしてもらうパターンと、経理と営業事務など兼務していた社員は営業事務に集中してもらうパターンです。
経営分析など経理よりももっと高度な仕事をしてもらう
もともと経理から経営分析までバリバリ仕事をこなしていたCFOや経理部長のような立場の方は、経営分析や銀行交渉に専念してもらいましょう。
日々の会計入力や請求書作成、振込データの作成などは本来経理部長やCFOが対応してしまうと会社の生産性はグンと下がってしまいます。
経理と営業事務を兼務していた場合は営業事務に集中してもらう
多くの中小企業の経理経理担当者は営業事務を兼務しています。
この場合は営業事務の仕事を100%にして集中してもらいましょう。
営業事務の仕事とは在庫管理や発注、顧客からの問い合わせ対応、ファイリング、電話対応などです。

というお話をよく聞きます。
ですが営業事務と経理業務の線引きをきちんとしておかないと経理をアウトソースして効率化することはできません。
下記に一般的な営業事務の業務と経理業務を表にまとめましたので参考にしてください。
営業事務 | 経理 |
|
|

まとめ

たとえばデメリットでお伝えしたように現金をどうしても自社に置いておく必要がある場合。
その場合は経理担当者を置いておくか、経理アウトソース会社と相談して現金に関するフローだけ社内に残せるように調整する必要があります。
経理を置かない最大のメリットは人件費のコストダウンと属人化している経理を見える化できることです。
経理をなくすメリット・デメリットを確認していただいて、経理をなくした方がいいのか置いておいて方がいいのか判断のお役に立てたら嬉しいです!